それって鍼で改善する?病院に行くべき??(頭痛編)
- はりきゅう堂 静
- 6月12日
- 読了時間: 5分

「病院に行くほどじゃない気がするけど、でも何とかしたい」
「鍼灸に行ってみようかな……でもこれって鍼で良くなる症状なの?」
こうした迷いを持つ方は、とても多いです。特に慢性的な不調ほど「病院に行くほどではない」と思いがちですが、中には放置すると危険なサインが隠れていることもあります。
鍼灸師は、解剖学・生理学・臨床医学など、西洋医学の基礎もしっかり学んでいます。そのため、「この症状は鍼灸で対応できるか」「これは医療機関を勧めるべきか」という判断も、安全な施術を行うための大切なスキルとして身につけています。
しかし、何より大切なのは、鍼灸院に来る前に、ご自身で危険なサインに気づけることです。手遅れになってからでは取り戻せないこともあります。
そこでこの記事では、よくある症状ごとに「これは病院へ」「これは鍼灸で対応できる」の判断基準をまとめました。病院と鍼灸を上手に使い分けるための参考にしてください。
なお、ここでいう「病院」とは、症状に応じた診療科(内科・整形外科・脳神経内科など)を受診することを指します。急を要する場合はためらわずに救急車を呼んでください。
1. 頭痛
こんな症状です
緊張型頭痛
頭全体がギューッと締め付けられるような痛み。後頭部から首・肩にかけて重だるさを伴うことが多く、「午後から夕方にかけてだんだん強くなる」という特徴があります。肩こりや目の疲れがきっかけになることが多く、吐き気はほとんどありません。
片頭痛
ズキンズキンと脈打つような痛みで、頭の片側または両側に起こります。光・音・においに敏感になり、吐き気や嘔吐を伴うことも。動くと痛みが悪化するので「横になってじっとしていたい」と思うのが典型的です。女性に多く、月経周期と関連することがあります。
群発頭痛
目の奥をえぐられるような激しい痛みが、数週間から数ヶ月にわたって毎日同じ時間に起こります。痛む側の目が充血し、涙や鼻水が出ます。男性に多いのが特徴です。
こんな時はすぐに病院へ
以下のいずれかに当てはまる場合、危険な病気(脳出血・くも膜下出血・髄膜炎など)が隠れている可能性があります。迷わず医療機関を受診してください。
雷鳴頭痛:今まで経験したことのない、瞬間的にピークに達する激しい頭痛(数秒で最大になる) → くも膜下出血の可能性。救急外来へ
50歳以降で初めての頭痛:これまで頭痛に縁がなかった人が50歳を超えてから新しく頭痛が始まった → 巨細胞性動脈炎・脳腫瘍の可能性。脳神経内科を受診
日に日に痛みが増悪する:時間が経つほど痛みが強くなり、市販の頭痛薬が効かなくなる → 慢性硬膜下血腫・脳腫瘍の可能性
発熱+首の硬直を伴う:首を前に曲げると痛い・硬い → 髄膜炎の可能性
神経症状を伴う:手足のしびれや麻痺、言葉がうまく出てこない、ものが二重に見える、意識がぼんやりする → 脳卒中(脳梗塞・脳出血)の可能性
寝ているときに痛みで目が覚める(朝起きたら痛い・寝違えとは違う。眠りを妨げるようにして起こる頭痛) → 脳腫瘍の可能性
咳・いきみ・運動で頭痛が悪化する → くも膜下出血・脳腫瘍の可能性
頭痛があり、以前にがんの治療を受けたことがある → 脳転移の可能性
妊娠中・産後に新しく起こった頭痛 → 静脈洞血栓症・子癇前症の可能性
頭痛があり、免疫が低下している(HIV、免疫抑制剤服用中など) → 髄膜炎・脳膿瘍の可能性
頭痛薬を飲みすぎている(薬剤の使用過多による頭痛)
頭痛を治そうと薬を飲むほど、かえって頭痛が増える状態です。以下の目安に当てはまる方は、病院で指導を受ける必要があります。自己判断での服用中止は離脱症状を起こす可能性もあるので、医師の管理下で減らすのが鉄則です。
トリプタン系(イミグラン・レルパックスなど)・エルゴタミン系(クリアミンなど):月に10日以上服用
市販の鎮痛薬(ロキソニンS・イブ・バファリンなど):月に15日以上服用
上記を合わせて月に10日以上服用(頭痛がない日でも予防的に飲んでいる場合も含む)
これらを3ヶ月以上続けていると、薬が頭痛の原因になっている可能性が高いです。病院で適切な治療計画を立ててもらいましょう。
鍼灸で対応できる場合
上記のレッドフラッグにひとつも当てはまらず、慢性的に繰り返している頭痛であれば、鍼灸の良い適応になります。
緊張型頭痛
首や肩の筋肉の過緊張が主な原因なので、鍼で筋肉のコリを緩め、血流を改善することで痛みが軽減します。「マッサージでは翌日には戻ってしまう」という方でも、鍼は筋肉の深部に直接アプローチできるため、効果が持続しやすいという声が多いです。
片頭痛
発作の頻度を減らす予防的な効果が期待できます。特に「月に2〜3回以上片頭痛がある」「頭痛薬を頻繁に使っている」という方ほど、鍼灸で発作の間隔を空けられるケースがあります。また、吐き気があって薬を飲みづらい時でも、鍼なら体に負担をかけずにアプローチできます。
群発頭痛
病院での治療が優先です。群発期に入ったら早めに脳神経内科を受診しましょう。
この記事では「病院へ行くべきサイン」と「鍼灸で対応できるケース」をまとめています。 大切なのは「病院と鍼灸は二者択一ではない」ということです。病院で必要な検査と診断を受けた上で、「これ以上は異常がない」「慢性的なもので鍼灸が合いそうだ」と判断されたら、鍼灸を治療の選択肢として取り入れる。そういう使い分けが理想的です。
「病院に行くべきか鍼灸に行くべきか」迷ったときは、まずこの記事のレッドフラッグに該当しないか確認してみてください。レッドフラッグがなければ、鍼灸で試してみる価値は十分にあります。ただし、鍼灸を試しても改善しない場合や悪化する場合は、改めて医療機関を受診するようにしましょう。
※この記事の情報は医療アドバイスを目的としたものではありません。症状が続く場合や不安な場合は、必ず医療機関に相談してください。

